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料理長
今宵も無口な料理長は
おいしいうどんを作ってくれた。
デジタルが0を表示すると、
無口な料理長は、静かにうどんを
私の手元に押し運んでくれる。
寒空の中やってきた私達を思ってくれたのか、
今日は一段と熱々だ。
白く柔らかな麺は、まるで子供の頃に
まだ誰も通っていない、
パウダースノーの上に寝転んだ時のような
白さと柔らかさ。
熱々の風味豊かなお出汁は、旅の疲れを静かに取り除いてくれる。
甘い御揚げは、お祖母ちゃんが台所でゆっくり煮込んでくれたあの味だ。
時折、麺と一緒に遠慮気味に口に入るとろろ昆布はいつも謙虚に脇役に徹している。
昼間は雪の中に少しだけ見える山の緑は、今宵のネギのような景色かもしれない。
カマボコは、紅白とは大変お目出い。
しかも、1枚だけかと思っていたら、
やられた、一番底に突如また、もう一枚紅白が現れた。
この演出には、もう誰も敵わない。
今日もやさしいうどんと、やさしい時間と空間を頂いた。

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